春は何かと変化が大きい時です。若いメンバーが多いスマイル21では、なんといっても小学校に上がる前の年の「就学相談」が大きなトピックになります。
障害の有無に関係なく、就学を来年度に控えた子どもには、市から居住地の学区の小学校名が書かれた書類が送られてきます。生まれつきの障害があるといっても、ダウン症の子どもたちには自動的に特別な学校があてがわれる訳ではないのです。しかし今のところスマイル21では、知的障害児に特化した教育を行なうために東京都が設置している「特別支援学校」が主な就学先となっています。
障害者差別解消法が施行され、もちろん市立学校もこの法律のもとにありますが、教育環境の調整・改良はあまり進んでおらず、障害を持つ子どもが学区の小学校へ入学し教育を受けるには、保護者側が積極的に工夫を続けなければ(特に通常学級では)成り立ちません。
とはいえ、スマイル21が発足した15年ほど前には市立の小・中学校に通うダウン症児がゼロだった多摩市も、今では常に複数人が在籍する時代となりました。この流れと同時に、学童保育の受け入れ枠も、かつては障害のない子どもと同じ基準しか設けられていなかったのが、障害児の実情に合わせて調整され、小6まで利用できる子どもが増えました。
こういった変化は、ただ黙って待っていてもたらされたわけではなく、スマイル21の親たちが直接市に意見し、交渉を続けた結果、実現したことも少なくありません。子どもは毎年成長してしまうので、なんとなく過ごしていればなんとなく終わってしまう学齢期ですが、より広く深く世の中と関わらせてくれるチャンスを、ダウン症の子どもが親たちに与えてくれます。振り返ってみれば、なんやかんや闘ってきた15年でした。
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草を分け入り高みを目指すよ(多摩川べり) |