2025年5月3日土曜日

わりと頑張ってきた

春は何かと変化が大きい時です。若いメンバーが多いスマイル21では、なんといっても小学校に上がる前の年の「就学相談」が大きなトピックになります。

障害の有無に関係なく、就学を来年度に控えた子どもには、市から居住地の学区の小学校名が書かれた書類が送られてきます。生まれつきの障害があるといっても、ダウン症の子どもたちには自動的に特別な学校があてがわれる訳ではないのです。しかし今のところスマイル21では、知的障害児に特化した教育を行なうために東京都が設置している「特別支援学校」が主な就学先となっています。

障害者差別解消法が施行され、もちろん市立学校もこの法律のもとにありますが、教育環境の調整・改良はあまり進んでおらず、障害を持つ子どもが学区の小学校へ入学し教育を受けるには、保護者側が積極的に工夫を続けなければ(特に通常学級では)成り立ちません。

とはいえ、スマイル21が発足した15年ほど前には市立の小・中学校に通うダウン症児がゼロだった多摩市も、今では常に複数人が在籍する時代となりました。この流れと同時に、学童保育の受け入れ枠も、かつては障害のない子どもと同じ基準しか設けられていなかったのが、障害児の実情に合わせて調整され、小6まで利用できる子どもが増えました。

こういった変化は、ただ黙って待っていてもたらされたわけではなく、スマイル21の親たちが直接市に意見し、交渉を続けた結果、実現したことも少なくありません。子どもは毎年成長してしまうので、なんとなく過ごしていればなんとなく終わってしまう学齢期ですが、より広く深く世の中と関わらせてくれるチャンスを、ダウン症の子どもが親たちに与えてくれます。振り返ってみれば、なんやかんや闘ってきた15年でした。

草を分け入り高みを目指すよ(多摩川べり)


2025年3月21日金曜日

世界ダウン症の日

 3月21日は、世界ダウン症の日です。2012年に国連が制定したものだそうです。だいぶ最近のお話。

ダウン症の人には外見の特徴があるので、みんな兄弟姉妹みたいに見えます。ユーモラスでほんわかムードな人が多く、なんとなく平和な感じを醸し出してくれるのが魅力です。

スマイル21のメンバーは、全員「世界ダウン症の日」制定後に生まれた人たちです。すでに特別支援学校・学級が公的に整備され、知的障害の程度にかかわらず教育を受け、就労したり社会活動に参加したりするのが、当たり前の時代を生きています。

昭和後期〜平成初期=スマイル21の親たちが子どもの頃は、まだ本当に世の中が未熟だったことを覚えています。その時代も、ダウン症の方々はたくさんいらしたし、その時代の普通の生活があったのだろうと思いますが、今だったら耐えられないほどの不便や苦労があったことでしょう。

未来は、常に「良くなる」ものだと信じたいです。子どもたちのこれからが、今よりももっと豊かで、平和でありますように。

未来をつくるだろう人たち


2025年1月14日火曜日

母の気持ち~和太鼓編~

息子は水、土、火が大好きです。
多摩の良いところはそれらに触れる機会がたくさんあることです。

ある時、近所のお祭りで太鼓の演奏が見れるというので息子が好きかな?と思い、行ってみました。
そうしたら
魅了されて、息子がその場から全く動かなくなってしまったのです。
そんなに気に入ったのならと、太鼓の演奏があると聞きつけては観に行くようになりました。

そして、そんなに好きなら入ってみるか、、と決心し、地域の和太鼓チームを紹介してもらい、親子で参加して今に至ります。
入るときにダウン症云々は何も言われなかったし、
皆さん、よく来たねー、とすぐ仲間に入れてくれました。
ただ、太鼓にもたれかかっていたり
バチを床に置きっぱなしにしていると叱られます。
そうゆうメリハリも
息子にとっていいと思っています。

息子が曲を覚えてるかというと5年経った今でも覚えていません。
ただ、手首はしなやかだし適当に打ってるけれどあ、あの曲のリズムだ、とわかるときもあるし
自由なリズムは頭でガチガチで覚えて打つしかできない母親にとってとても羨ましいことです。

これから思春期。
言葉もだいぶ出るようになってはいるけれど
それでも表現しきれない部分を太鼓にぶつけて
リフレッシュしてくれたらと思います。

どんど焼きの会場で、大人と一緒に演奏!かっこいい



2024年12月11日水曜日

療育じゃなくて支援

ダウン症は、生まれる前あるいは生まれた直後に確定診断ができるタイプの症候群なので、親たちは早々にダウン症に関する理解と対応を学ぶことになります。

ダウン症児は身体の治療が必要なことが多く、まずそれらが優先されますが、同時に医師からほぼ必ず「療育」を勧められます。つまりは、心身の発達遅滞への色々な対処法を赤ちゃんの時から専門機関で教えてもらって試しましょうというハナシなのですが、 

這えば立て立てば歩めの親心

は、恐ろしいことに平成令和の親たちにも深く染み付いていて、なんとかして少しでも早く「みんな」みたいに出来るようにならなくちゃこの子は不幸だ、と自動的に思うのです。
本人からすれば、マジで勘弁してくれ…の親心だと思います。

15年以上ダウン症児界隈にいて、いまさらですが、療育もその時代・その地域・その療育機関の状況によってどんどん内容が変化してゆく「水物」なんだなと気づきます。今となっては、アレ何だったん、ってこともあります。

上手に出来るようになることを本人に目指させる「療育」マインドよりも、本人がやりづらそうなことを少しでも簡単にこなせるよう周りが工夫する「支援」マインドを、もっとはっきり何度も具体的に、親に教えてほしかったな。

せっかく生まれてすぐに分かる障害なんだから。

今これから子育て始まる世代の皆さんには、そういう専門家との出会いがあるよう祈っています(。-人-。)


療育センターでPTしてるとこ。なつかしいなあ




2024年11月26日火曜日

母の気持ち~一生よろしくねッ!編~

小学校支援学級に通う女児の母です。


生まれた時は、房室中隔欠損、中間位鎖肛で肛門がないという状況。

この子は、どうなってしまうのかなと不安でした。さめざめと泣きました。

3日間。

夜通し泣いていて、何が変わる?何も変わらない。

なぜ泣いている?この子の未来に悲観。この子の存在自体を認めているから、かわいそうで泣いている、つまり可愛い、大切にしたいと思っているわけだ、私は。

と気がつきました。


じゃあ、私にできることは。

たくさん調べて、

そこで立ち上げられたばかりのダウン症の子どもたちの「絵」に出会ったのです。

そして、一生よろしくねッ!と初めましての時に声かけてくれた輝いている美しい保護者様たちにも。


そこから、肺炎重症化で今夜がヤマと言われ、命を落としそうになったり、6回の手術を重ねたり。だけれど、生まれた時に悲観した未来はあっけなく来ることなく、

今は、目標にしきた兄と同じ地域の小学校に、ランドセルで大好きな学校に行っています。いろんな方々に支えられながら。そしてきっと、私は次は支える番になるんだと思って未来を見据えます。


自分で、未来はつくっていける。一生よろしくねッ!


ダウン症児は身体に生まれつきのトラブルが多く、赤ちゃんの頃から
入院・手術を何度も乗り越えなければならない人もいます。
医療と共に頑張っているチビちゃん・ご家族を、スマイル21は応援します!

2024年11月17日日曜日

ダウン症児と不登校

不登校児の数、令和5年度は小中高全て合わせると40万人を超えたとのこと。文科省もようやく、学校にきていない子どもに公教育ができることを整備すべく、実践を始めたところです。

ところで、この「40万」の中に特別支援学校のデータは入っていません。
特別支援学校で、不登校とかないでしょ?どんな子どもでも、あかるくたのしく通えてる…んじゃない?だって専門家がじょうずに工夫してる…んでしょ??

と皆さん思ってませんか。

しかし、特別支援学校・特別支援学級でも、不登校になる子どもは常に一定数います。学校が使えなくなると、途端に行き場がなくなってしまうのも、普通の学校の子どもと同じ、あるいはそれ以上なのはご想像いただけるでしょう。

スマイル21メンバーの中にも、不登校の子どもはいます。保護者も支援者も色々と工夫していますが、これといった対策が出来ていないのが現状。まだまだ、立ち向かうべき壁は厚いのです。

数年前開設予定だった多摩市の不登校特例学校…色々あって頓挫中(汗)

2024年10月26日土曜日

今日は衆議院選挙の日

今日は衆議院議員総選挙の投票日です。
ダウン症など知的障害のある人も、当然18歳になれば選挙権を持ち、多くの人々が選挙に参加しています。

スマイル21メンバーも、成人がだんだん増えてきました。自分宛の投票所入場券が届き、国民の一人として投票に向かう彼らの表情は、どこかキリッとして晴れやかです。

障害のある人の投票には、もちろん適切なサポートが必要です。障害者差別解消法の施行を受けて、サポートの方法も年々充実してきた感があります。
スマイル21の中でも、多摩市に於ける選挙に際しての注意点やアイデアが、これから蓄積されていくでしょう。なんだか楽しみです(*^▽^*)

知的障害のある人にとって、分かりやすい選挙ってどんなのだろう?
どんな環境整備や合理的配慮が必要だろう?